「
ミステリが読みたい!

」「
このミステリーがすごい!

」のベスト10を発表していきましたが、いよいよ今年、最後のミステリー・ベスト10は、この週刊文春のミステリー・ベスト10のみとなりました。
歴史的には、この週刊文春のミステリー・ベスト10が最も古く、早川書房の「このミステリが読みたい!」が昨年から始まったばかりです。
週刊文春が、割とメジャーな作品を取り上げてきたのに対して、“このミス”こと「このミステリーがすごい!」は、新人発掘に力を入れ、それまで取り上げられなかった作家をプッシュし、結果として、通好みのベスト10となっていたのですが、段々と両者の違いが表れ難くなっていました。
新たに参入した早川書房の「ミステリが読みたい!」は、ベスト10選出者に早川書房の「ミステリマガジン」の読者の点数を半分、加味し、評論家等のみが選者である前者らとの違いを表そうとしたようです。
また、選考作品の基準も前者と少し違いを持たせた結果、昨年、『長いお別れ』という既に翻訳本があるにもかかわらず、ベスト1には、同じレイモンド・チャンドラーの作品の村上春樹訳である『ロング・グッドバイ』がベスト1位に輝き、週刊文春、「このミステリーがすごい!」との違いを際立たせました。
また、早川書房の「ミステリが読みたい!」のベスト10は、点数の半分を読者によるものである結果、よく読まれた本、簡単に言えばベストセラーに名を連ねた作品の選出傾向が大きいように思われます。
さて、前置きはこのくらいにして、肝心の週刊文春のベスト10へ行ってみましょう!